かめびしの仕込みが始まった。1753年創業以来、頑ななまでに守られている「むしろ麹法」は、寝ずの番が基本。3600リットルの桶1本分の運命が、こじんまりした「むしろ麹の部屋」に託される。黄色いフワフワの可愛い麹を育てるため、20度以下にならないように、40度を超えないように、無数の天窓や二重窓を開けたり閉めたりして温度管理。生えてはいけないカビはないか、ムシロは湿ってないか、繊細すぎるほど、注意を払いながらの作業がつづく。体力勝負、かつ真剣勝負の毎日なのだ。かつて醤油業界に機械化の波が押し寄せてきたこともあった。16代目は悩んだ挙句、製麹機を購入し醤油作りに挑んでみた。しかし、むしろ麹法に勝る味は作り出せなかったという。だから今なお、かめびしは手作業の「むしろ麹法」にこだわるのである。 |