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  かめびしの蔵の中から十度もの四季を経たものを特別に選んで搾りました。 長い歳月しか醸し出せない独特の酸味と複雑な旨味。 つけ焼きのたれなどもお使いいただけますが、まずは、 お刺身やお寿司などのつけ醤油として、この芳醇な風味を充分に味わってみてください。 麹づくりから櫂入れまでかめびしの職人が手塩にかけた逸品。 どうぞ最後の一滴まで大切に心ゆくまでお楽しみください。


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■古醤油十歳造 おすすめレシピ■
【さしみのむらさき】 特に脂身のお魚によく合います。
【ステーキたれ】 醤油 大さじ2
ブランデー 大さじ2
みりん 大さじ1
日本酒 大さじ1
肉に焼き色がついたらさっと鍋肌から回し入れる。
【あなごやうなぎのたれ】 醤油 大さじ3
みりん 大さじ3
砂糖 大さじ1/3
一煮立ちさせて白焼きにハケでつけて焼く。何度もつけては焼いてと繰り返すのがコツ。
【ぶっかけうどんのたれ】 ゆでたてのうどんの湯をよく切って(冷やして召し上がるときは、ゆでたうどんを水にさらした上でよく水を切って下さい。)、十歳造を薄めずにそのままかけます。
ネギ、鰹節、おろし生姜等の薬味と一緒に混ぜて召しあがれ。
他にも
◆おもちを焼いてそのままつけて
◆お好み焼ソースに少量混ぜて
◆切り身の魚(さわら、鯛、たら等)を軽く塩、こしょうし、裏、表を焦げ目が付く位焼き、バルサミコソースと醤油を2:1に混ぜたソースをかける。
*つけ合せは串が通るくらいの大きめのじゃがいもがよく合います。

<かめびし古醤油十歳造>

  1960年代というと今から40年程前になりますが、当時かめびしは戦後の生き方を模索しておりました。といいますのも、そのころ醤油業界では、協業化、合理化が急激に進み、周りが次々と麹造りを止めたり新しい機械を導入してゆく中で、かめびしはそれに追随すべきかどうかの岐路に立たされたのです。つまり、とても効率の悪い昔ながらの造り方を続けるのか、あるいは製造を機械化して効率化を図るのか・・・。
かめびしは大いに悩みました。当時製麹装置は床式トムンゼット型、長田式円盤型(現在の主流)、仕込み桶は屋外温醸タンク(現在の主流)などがありましたが、ひとまずかめびしでは半自動型の製麹装置を取り入れ麹を作ってみました。

 結果はやはりだめでした。麹がどうしてもうまくゆかないのです。それに醤油になった時にも自分達の納得する味にならない・・・。結局流れにこのまま身を任せてはいけないのだという結論に達し、もう一度昔のやり方に立ち返って自分達の納得できる本物の醤油造りをしようということになりました。昔ながらのやり方、つまりむしろ麹製法はこうしてかめびしの中で生き続ける事になったのです。

 むしろ麹製法とは、一枚のむしろの上に2〜3cmの厚さに麹を広げ、竹で編んだ簀(す)の上に乗せて4日間かけて麹を造るやり方です。一度にできるのは、むしろ180枚を全部使用してもせいぜい18石。その上昔なら屈強な男性5人が1時間で盛り込みをしていたのですが、現在では昔のような頑強な人間はほとんどいないため、男性10人で2時間かかるのです。更に、麹造りには1〜2時間ごとの綿密な温度管理が必要なため、夜間も必ず泊り込んで麹をみてやらなくてはなりません。2日目には手入れと言って、一日めに12段に積み上げた麹をむしろと簀から全部叩き落し、混ぜ合わせてまたもう一度積み上げる作業もあります。こうして4日目に漸く出来上がって木桶1本分の諸味となるのです。

  これに対し、今や全国の醤油メーカーが採用している機械化製法、つまり全自動製麹法は一度に35石以上の製麹が可能で、盛込み、手入れは全て機械が行い、コンピューター制御により温度管理ができるため作業員は常時必要なく一名が時々チェックするのみですから、いかにむしろ麹法が非効率的かがお分かりいただけるかと思います。

  しかし一方ではやはりものづくりをする以上原料の大豆や小麦に手を触れて造ることのできるむしろ麹は、農業で自分で種を蒔いて大事に育ててそれをやはり自分の手で収穫するのと同じ喜びが味わえます。きれいで楽だけどパイプや機械が並ぶだけの工場はやはり味気無いものです。昔、農芸化学の先生には、「むしろはうまくいかないし、時代遅れなんだから止めなさい」と言われたこともあります。しかし科学的には判明できないのですが、同じ分析値を有する醤油でもむしろ麹で造った醤油は何故かどこか違う。数字に表せないけど我々は歴然とした差をいつも感じています。自動製麹の冷たい金属と異なり、自然素材のむしろの上でのびやかに育った麹はみるからに生き生きとしています。胞子がきれいに伸びて、黄色い麹の糀が咲いた時の美しさは圧巻です。ましてやこうして手をかけて大事に育てたもろみがおいしい醤油になるときは何ものにも代えがたい感動でもあります。だからこそ、どんなに手間がかかろうとも、むしろ麹を続けたい。こうして、かめびしでは30年ほど前からまた毎年むしろ麹造りで仕込んだもろみができるようになりました。

  数年後順調にもろみが出来始めたころ、その中から毎年1桶ずつ当主がとても気に入ってよそには売りたくないもろみを残すようになりました。その中で今や最も古いものが15年物。いわばかめびしの宝物と言うべきこのもろみは、これまで当主のごく親しい友人の中でも特に味のわかる方にのみ少しずつ分けて差し上げてきました。

  この十歳造には、かめびしが商品とするのに必要と判断している最短の熟成期間(濃口2年、淡口1年半)のもろみにはない独特の酸味があります。酸味と共に実に奥の深い旨み。もろみは仕込んだ当初は頻繁に(ほとんど毎日)攪拌しなくてはなりませんが1年2年と経つうちに熟成がゆっくりと進むようになり1ヶ月に一度の楷いれで済むようになります。さらに5年、10年と経つと手を加えるのは数ヶ月に一度です。こうなるともろみはほとんどカビも生えない不揮発な状態となり、漆黒に近い色と相当の固さを感じさせる程の粘りがでてきます。もちろんそれでも熟成は極くゆっくりゆっくと進みますが、量が減らなくなる分もろみの中に旨みがどんどん溜まってゆきます。ちょうど素敵なひとが年を重ねる毎にどんどん洗練されてゆくように、塩が奥に隠れ旨みの複雑なコンビネーションが調和を増してゆくのです。十歳造のうまさはこのようにして出来上がっているのです。

  更に、年数の浅い醤油が強い香りを持つのに比べ、この10年ものはそのままでは余り強い香りは感じませんが、一旦熱を加えると内に隠されていたふくいくとした芳香が溢れ出し、この醤油の持つ奥深さを実感します。また10年の歳月の醸し出すトロ味は格別。3年ものでも既にかなりの粘性がありますが、十歳造はこれが醤油かと思う程のもの。醤油というより、骨董品と言う方がぴったりでしょう。

  当主のみならず、この10年かめびしと共に苦楽を共にしてきた職人にとっても、この醤油は文字通り汗と涙の結晶。自分の育てた子供を手放すような気持ちで敢えて蔵から出した我々の心意気を十分にお汲み取りくださり、存分に楽しみ最後の一滴まで大切にお使い下さいますようお願い申し上げます。

かめびし屋連中


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