 |
「今日は舟に乗る作業やで。」先輩の泉さんについていきながら、何がなんだか検討もつかない和田さんです。その日は、「舟掛け」初めての日だったのです。
「舟掛け」というのは、攪拌で格闘していたあのもろみたちの中で、熟成期間を経過したもろみを絞っていくのですが、その為の前段階の作業なのです。
|
泉さんから説明を受けても、「なんで、だから、どうして、それを舟に乗るの???」といっているのか分かりませんでした。
けれど、舟掛けをする「圧搾場」にきて、圧搾機を見てみるとなんとなく泉さんの言っているニュアンスが理解できたような気がしました。
圧搾機が「舟」に似ていて、その台に乗って作業をするので、「舟に乗る」というのだろうと思えてきたようです。
舟掛けは持久戦です。
舟と呼ばれる所以のある、長さ2メートル幅80センチのステンレスの型枠に四つに仕切られた木枠をのせます。一つ間をあけて、作業をする二人が立ちます。それぞれが、自分の前にある枠に風呂敷とよばれる布で、もろみを包んでいきます。包む方法は、四角な枠の中にきちんと収まるように、もろみを均等にのばして、風呂敷の角を枠の角に合わせて折りたたむように包んでいくのです。それを一枚一枚積み重ねていくのです。
その作業は延々と朝から夕方まで続きます。半日で交代することもありますが、「遠洋」といって、一日中作業にはいることもあります。「遠洋」の場合、一人が一回の船掛けで積み重ねていく枚数は、200枚以上になります。
地味な作業なのですが、一日舟に乗ると、足がパンパンになり、匂いのきついもろみとずっと一緒なので、のども痛くなります。次の日は肩や腰が軽く筋肉痛なんてこともあります。なかなか侮れない作業なのです。
「遠洋」とか、「朝から夕方まで」なんて説明を読まれたみなさんは、「日がな一日のんびりやってるんだろう。」なんてご想像されるかもしれません。しかし、そうではないのです!
初めて先輩の泉さんが舟に乗る作業を見た和田さんの感想から想像していただけると思います。
その感想は、「すげぇー。人間じゃねぇー。なんちゅうスピードだー!!!」であったようです。
(次回、和田さんも見様見真似で舟に乗っていきます。さて、さて・・) |